労務費の内訳見積

見積書の労務費の書き方|数量×歩掛×単価で出す手順と記入例

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総額や「一式」で出してきた見積書に、労務費を内訳として書こうとすると、「何を労務費に入れるのか」「歩掛はどう書くのか」で手が止まりがちです。国土交通省は、専門工事業者が元請負人(直近上位の注文者)に見積書を出すときの参考として、見積書の「様式例」と「書き方ガイド」を公表しています。この記事では、そのガイドに沿って、労務費の欄の書き方を順に整理します。

労務費に含めるもの・含めないもの

書き方ガイドでは、労務費を「工事の施工に直接携わる労働者に対して支払われる、労働者本人が受け取るべき賃金の原資となる費用」としています。含まれるものは次のとおりです。

区分例労務費に入るか
基本給相当額基本給、出来高給入る
手当家族手当、通勤手当、地域手当、住宅手当、現場手当、技能手当、精勤手当等入る
実物給与通勤用定期、食事の支給入る
臨時の給与賞与、臨時の賃金、退職金入る
法定福利費の被保険者負担分雇用保険、健康保険・介護保険、年金保険・基金の本人負担分入る
法定福利費の事業主負担分健康保険料などの会社負担分入らない(法定福利費として別に書く)

つまり、本人の手取りの元になるお金は労務費、会社が負担する社会保険料は法定福利費、と分けて書きます。再下請をする場合は、再下請先の労働者の分も計上したうえで、再下請先に適切に支払うことが必要とされています。

労務費は「数量×歩掛×単価」で出す

様式例では、労務費を「数量×歩掛×単価の合計」として、明細のシートに作業ごとに入力します。欄ごとに書くことは次のとおりです。

  • 名称・仕様:作業(工事)の名称と、仕様(工程)を書きます。
  • 職種:型枠工、解体工など、その作業をする職種を書きます。
  • 歩掛:単位施工量当たりの歩掛(人・日/数量)を入れます。業界・工種によって「数量/人・日」の形で示したい場合は、その欄にも書けます。
  • 単位:m、m3、t、個、箇所、組など、適切な単位を書きます。
  • 単価:労務単価を入れます。様式例の注記では、労務費の計算の根拠となる単価は、所定労働時間内8時間当たりの単価とされています。
  • 備考:現場の状況が特殊で、標準的な条件の歩掛ではない歩掛を使う必要がある場合の理由や根拠など、特記事項を書きます。

歩掛は、「労務費に関する基準」を参考にしながら、作業内容・現場条件を踏まえ、自社の施工能力を勘案して決めるものとされています。なお、交通誘導警備のように日数と労務単価だけが見積りに影響する場合は、数量欄に日数を、歩掛欄に1を入れる、という書き方も示されています。

記入例(書き方ガイドの記入例の数字を使った計算)

型枠の作業 940m2 で、型枠工の歩掛 0.13217人・日/m2、単価 31,700円 のとき:0.13217 × 31,700 ≒ 4,190円/m2(7.6m2/人・日 に相当)

同じ作業の解体工の歩掛 0.05187人・日/m2、単価 26,800円 のとき:0.05187 × 26,800 ≒ 1,390円/m2(19.3m2/人・日 に相当)

1m2当たりの労務費は 4,190 + 1,390 = 5,580円。940m2 分では 5,580 × 940 = 5,245,200円 が、この作業の労務費の目安になります(数値は記入例で、実際の単価・歩掛ではありません)。

労務費の欄を書く5つの手順

  1. 作業を分ける:工事を作業(工程)ごとに分け、名称と仕様を書きます。
  2. 職種を割り当てる:作業ごとに、携わる職種を1行ずつ書きます。
  3. 歩掛を決める:基準値がある職種分野なら前提条件と現場条件を見比べ、自社の実績から歩掛を決めます。
  4. 単価を入れる:8時間当たりの労務単価を入れ、数量×歩掛×単価で金額を出します。
  5. 備考を書く:標準的でない歩掛を使った理由や、現場の特殊な条件を書いておきます。

歩掛を細かく出したくないとき

歩掛は、会社のノウハウにかかわる情報でもあります。運用方針では、注文者が労務単価・歩掛の明示を求めることについて、例えば歩掛情報が受注者として秘匿性の高い情報である場合など、個別の事情を踏まえて内訳明示の精度を調整することは許容される、としています。

ただしその場合でも、建設業法第19条の3または第20条第2項違反の疑いが生じたときは、受注者は建設Gメンや許可行政庁に対して、労務費が労務単価×歩掛の計算において妥当であることを説明できることが必要とされています。社外に出す見積書の精度を調整するときも、社内には計算の根拠を残しておきましょう。

どの段階の見積書で内訳を書くか

書き方ガイドの留意事項では、労務費等を内訳明示した見積書は、契約締結の前提となる設計図書等が整った段階での価格交渉で使うことを想定している、と説明されています。設計の精度が十分でない概算の見積書など、労務費の内訳明示の精度が確保されない段階まで、すべて労務費を内訳明示しなければならないわけではない、ともされています。

見積書の書き方そのものは国の様式例が参考になりますが、個々の金額が適正かどうかの判断は含まれていません。判断に迷うときは、専門家に相談してください。

よくある質問

見積書の労務費には、何が含まれますか?

労働者本人が受け取るべき賃金の原資となる費用です。基本給相当額、各種の手当、実物給与、賞与などの臨時の給与と、法定福利費のうち被保険者負担分が含まれます。

社会保険料の会社負担分は、労務費に入れますか?

入れません。法定福利費の事業主負担分は、労務費とは別に、法定福利費として内訳に書きます。

労務費はどう計算しますか?

様式例では、作業ごとに数量×歩掛×単価で出し、その合計を労務費とします。単価は所定労働時間内8時間当たりの単価とされています。

歩掛を細かく出したくない場合はどうなりますか?

運用方針では、歩掛情報の秘匿性が高い場合など、個別の事情を踏まえて内訳明示の精度を調整することは許容されるとしています。ただし、労務費が労務単価×歩掛の計算において妥当であることを説明できることが必要とされています。

出典

出典の確認日:2026年10月13日

この記事は、国土交通省の公表資料をもとにした一般的な情報です。個別の見積りや契約が法令に照らしてどうかの判断は含みません。制度や基準値は改定されることがあるため、最新の内容は国土交通省の資料でご確認ください。

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